2009年4月10日 吉野山(後編)

吉野山登山も後半戦に突入。
しかし、そこに待っていたのは、これでもかと言えるほど続く登り坂であった……。




この道が上千本へと続く道なのですが、ご覧の通り半端ではない登り坂。
これと比べたら下千本の七曲坂が遙かに可愛く見えます。
まさに吉野山の登り坂地獄と言える厳しさでしょう(おまけに平日は自動車も通行します)。
この急な登り坂が吉野水分神社までの約1.5kmの間、ほぼ切れ目無く続くので、足に自信のない人は(年齢を問わず)杖を使うか、この付近から出ている奥千本行きのバスに乗ることを強くおすすめします。
特に奥千本行きのバスは常に長蛇の列ができていますが、たとえ二時間以上待ってでも乗る価値があると言える、便利な交通手段です。
その登り坂の途中にある売店。
かなり足にダメージが来る頃に辿り着くので、休憩するにはもってこいの場所です。
ここから先には売店らしい売店はほとんど無いので、ここは利用しておいた方が吉でしょう。
きつい登り坂をひたすら登り、ようやく上千本に到着。
傾斜は厳しいですが、周囲の桜は見事そのもの。
ここまで登って来ると、見晴らしも凄いの一言。
特に吉野展望台からは中千本・蔵王堂方面が一度に見渡せます。
写真中央に見えるのが蔵王堂。
あそこからここまで自分の足で登ってきたのかと思うと、感慨深い物がありますね。
ようやく厳しい登り坂も終わりを迎え、吉野水分(みくまり)神社に到着。
奥千本の入口と言えるこの神社まで来ると、桜の開花もまだこれからといった感じです。

ちなみに、奥千本にこだわりが無い人は、ここをゴールとして引き返した方が無難。
ここから午後3時以降に奥千本(金峯神社・西行庵)へ徒歩で向かった場合、日没までに近鉄吉野駅へ帰って来られない可能性があります。
山中の神社だからか、境内は狭い方。
一見すると庭園のようにも見えます。
吉野水分神社の本殿。
この写真では一部しか写っていませんが、主殿と脇の二殿を一続きにした珍しい建築となっています。
なお、現在の社殿は1605年に豊臣秀頼によって創建された物です。
境内に一本だけある桜。
花と同時に葉が出ていないので、ここの桜はヤマザクラではなくてシダレザクラのようです。
吉野水分神社を後にして、さらに奥へと進みます。
傾斜は幾分緩やかになりますが、依然として登り坂が続きます。
吉野水分神社から15分ほど歩くと、左手に高城山展望台への道が見えてきます。
そこを登ると、ここに到着。
ここも休憩するのに適した場所です。
展望台からの眺め。
吉野水分神社よりさらに標高が高くなった(標高702メートル)ので、ここの桜はちらほらといった感じ。
さらに20〜25分ほど歩いて、ようやく金峯神社の鳥居前に到着。
奥千本行きのバスに乗った場合も、ここに到着します。
ここから拝殿前まで続く登り坂がまた半端ではない急傾斜なので、登る時は要注意です。
金峯神社の拝殿。
吉野山の地主神・金山毘古神(かなやまひこのみこと)を祀っています。
拝殿の鳥居前を左へ曲がって少し道を下ると、この『義経隠れ塔』があります。
1185年11月、源義経と弁慶が追っ手から逃れてこの中に隠れましたが、結局見つかって囲まれてしまい、屋根を蹴破って脱出した事から『蹴抜けの塔』とも呼ばれています。
金峯神社から、今日の終着点である西行庵を目指して、もうしばらく登ります。
ずっと登り坂ばかりで足が死にそうですが、ここが最後の踏ん張り所です。
少し進むと、分岐点に遭遇。
どちらへ進んでも西行庵に着きますが、ここは右を選択。
そしてここを左へ進めば、西行庵まであと一息。
松尾芭蕉の句碑が建ててありますが、昔の人はここまで来るのにもっと大変な思いをしたのでしょう。
ここを下ると、眼下に奥千本の桜が徐々に見えてきます。
久々の下り坂で助かりますが、道の左側は急斜面な上に、足元が悪い所もあるので油断は禁物です。
そしてついに、ようやく、やっと本日のゴールに到着!
近鉄吉野駅から、ここまでほとんど登り坂の道を約7km……。
健脚な人にとっては、この程度は大したことないのかもしれませんが、私にとっては我ながらよくここまで辿り着けたものだと思うほどの道程でした。
これが、奥千本の奥にたたずむ西行庵。
西行庵は鎌倉時代の初期に、放浪の歌人・西行が俗世間を離れて三年間隠棲した場所です。

現在建っている西行庵は当時の建物を想像して復元した物で、中には西行の像が安置されています。
西行庵の周辺は静かそのもの。
聞こえるのは風の音と鳥の鳴き声くらいで、まさに俗世とは無縁の場所です。
西行庵の標高は800メートルくらいあるので、桜は日当たりの良さそうな所だけわずかに咲いているくらいでした。
満開にはあと一週間〜10日ほど掛かりそうです。
あまり西行庵に長居していると日が暮れてしまうので、名残惜しいですが近鉄吉野駅まで歩いて帰らなくてはなりません。
そう……ここまで来たからには、もう一度同じ道を引き返さなくてはならないのです!
帰りは下りだから楽なのでは……そう思っていた私は甘かった。
写真は金峯神社の鳥居へと続く坂道を上から撮ったものですが、まるでスキーのジャンプ台。
同じ下り坂でも、あまりの急傾斜になると一歩一歩足を踏ん張って歩かねばならないので(そうしないと勝手に走り出してしまう)、足への負担は登りと同じくらい大きいのでした……。
とにもかくにも、前に進まないことには始まりません。
下りでも足には響きますが、それでもやはり登りよりは速いペースで進めます。
おかげで一時間もしない内に上千本まで下ることに成功。
夕暮れ迫る桜の風景が見事でした。
蔵王堂へ帰って来る頃には日没を迎えました。
門の間に沈み行く太陽と、尾を引き昇り行く飛行機雲。
山の向こうに沈む太陽。
こんなに見事な夕暮れを撮影するのは久しぶりです。
望遠レンズで撮影。
今日は一日中快晴に恵まれてラッキーでした。
登りの時は乗らなかった吉野ロープウェイに乗って、一気に近鉄吉野駅へ向かいます。
吉野ロープウェイは基本的に近鉄特急の発車時刻と連動するように運転されているので(多客時は除く)、下りの時に乗るのも便利です。
約5分ほどで近鉄吉野駅に到着。
もうほとんど日が暮れた頃の帰還となりました。
行きは急行を使いましたが、帰りはもう疲れ果てていたので特急を使用。
18時以降なら空いてるはずなので、吉野駅の窓口で簡単に特急券が買えます。
そして大阪阿部野橋駅へと到着。
帰りの特急内では、ほとんど寝てました……。

という訳で、今回の吉野山登山も無事終了。
桜の美しさは言うまでもなく、なかなか歩きがいのある山だったので(笑)、機会があればまた行ってみたいですね。




     

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