2009年11月7・15日 万博公園・水が消えた夢の池

池の底が破損したため、2009年6月頃から水位が低下し続け、ついに水が全て無くなってしまった夢の池。
驚きの出来事ですが、これは万博開催から40年間もの間、誰も見ることの無かった水面下の部分を見られるチャンスでもあります。




まずは11月7日の写真から。
すっかり水が干上がり、露出した池の底に鎮座する二基の噴水『宇宙船』。
上部の半球部は、水面からの高さ3メートル、直径も3メートルの『宇宙船』。
噴水全体が水面に浮く機能と、水面下に沈む機能を持ってます。
万博終了後は、水面下に沈んだ所を見たことはありませんが、池の水が無くなったことにより、自然と最も沈んだポジションに来ました。

ちなみに、万博開催時は半球部の色がそれぞれ黄色と黒に塗られていました。
普段見慣れた物とは全く違う風景を見せる夢の池。
何と言いましょうか……まるで荒涼とした砂漠が突然出現したかのような印象を受けました。
当然ながら、普段は水面を走り回っているボート達も、池の底に着地して待機中。

それにしても、岸から少し離れただけで、底がこんな急斜面になっているとは知りませんでした……。
空は青いですが、それを映す水が全くありません……。
水面からの高さ7.4メートル、直径6.9メートルの噴水『惑星』。
ステンレス製のドーナツを十字に組み合わせた形をしており、ジェットノズルと噴霧ノズルを交互に配置。
万博開催時はドーナツ部分が回転しながら水を噴き出していました。
水面からの高さ9.5メートル、一辺が4.5メートルの立方体な噴水『コロナ』。
箱の上部から外壁を流れ落ちる滝のような噴水と、箱の下部からジェットノズルで噴射するという二種類の機能がありました。

万博開催時の塗装色は黒。
こうして見ると、池の底は想像以上に深く、さらに何本もの溝が掘られていたりするなど、思いのほか複雑な構造です。
池の岸に展示されている鉄鋼彫刻、作品名『作品』。
やはり水が無いと、ただそこに建っているだけという感じがして残念です。

写真では明るく見えますが、実際はかなり暗くなってきたので、この日の撮影はここで終了。
ここからは11月15日の写真です。
これは水中に渦潮を発生させる装置。
他の噴水塔と違って万博終了後に撤去されたそうですが、水が無くなったおかげで、その名残を見ることができました。
左が水面からの高さ12.5メートル、直径3メートルの円筒形をした噴水『星雲』。
円筒全体に配置された噴霧ノズルから霧状の水が噴出し、巨大な霧の塔を演出していました。
万博開催時の塗装色は青。

右が水面からの高さ33メートルという、当時としては世界最大の噴水塔『彗星』。
上部にある一辺6.44メートルの立方体(アルミ鋳物製)の下部から水を噴出させ、その名の通りに彗星のような情景を見せていました。
『惑星』の前から『星雲』・『宇宙船』方向を撮影。
続いては『惑星』と『彗星』&『コロナ』を撮影。
水が無いというだけで、こうも雰囲気が変わるとは……。
太陽の塔と全種類の噴水を入れて撮影しようと思いましたが、『コロナ』だけがどうしても入らずに断念。

それにしても、少し前までは想像もしなかった光景です……。
こうやってじっくりと池の底を見てみると、約40年間も水に沈んでいた割には、思ったよりゴミや泥などは積もっていない模様。
しかし、水があった時に見られた鯉や蟹などの、ここに住んでいた生き物たちは、水が無くなった後どうなったのであろうか……?
黄昏時の、水が消えてたそがれる夢の池……。
『コロナ』の柱には、はしごが付いているので、これを登れば箱の中に入れるようです。
一体、中はどんな構造になっているのか見てみたいですね。
『コロナ』の、普段は水面下にある部分。
水を吸い上げるための吸水口が全部で三つありました。
池の斜面に設置されている排水口。
自動で開閉する仕組みだったそうです。
今はもう動かなさそうな感じですが……。
作品名『作品』を改めて撮影。
水があった時でもうっすらと底の部分は見えていましたが、水が無くなってはっきりと全体像が見えるようになりました。
『作品』の隙間から見た『星雲』。
『作品』自体は錆びない素材のようですが、土台部分はかなり錆び付いています。
ここからは望遠レンズで撮影。
これが何のための装置かは不明です。
全部で三つあった渦潮発生装置。
中央にあるプロペラ?が回転して、直径10メートルの渦を発生させていたそうです。
また、この装置にはアクリル製の筒が取り付けられていたらしいのですが、万博終了後に外されたのか、今はそれを見ることはできません。
『星雲』の流量制御バルブ?
ちなみに、上にある赤いコーンの先端付近が、普段の水面です。
『コロナ』吸水口のアップ。
一体どれだけの水を吸い上げることができたのだろうか……。
吸水口のさらにアップ。
電力ケーブルらしき物が見えます。
このようなケーブルは池の底の至る所で見られ、これらの噴水を動かすには相当な電力が必要だったことがうかがえます。
最近まで鳥とは無縁だった場所に降り立つ一羽のアオサギ。
しばらく歩き回った後、特にエサとなる物が見当たらなかったためか、いずこかへと飛び去って行きました。
溝の中にある排水口らしき穴。
それにしても、この池の底のどこが、どんな風に破損して水が抜けてしまったのだろうか……?
改めて見る渦潮発生装置。
万博当時はこれでどんな渦を作っていたのか、実際に見てみたかったですね。
『コロナ』の照明部分。
40年間水中に没していたため、すっかり錆び付いています。
本日のラストは、横から撮った作品名『作品』。

水が無くなったおかげで見られた物も多数あったのは事実ですが、やはり池に水が無いというのは寂しいものでした。
今後、この夢の池がどのように復活するのか、その過程に注目です。




     

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