2011年4月20日 吉野山

これで三年連続、三度目となる吉野山。
今回は、今までとは違うルートで登りました。




いつもなら、吉野山へ行く時の電車は急行を使うのですが、今回は少し奮発して特急を使用。
桜の見頃を過ぎつつある時期だったので、いつもは満席な特急の座席が、かろうじて空いていたというのも理由の一つですが。
出発してから20分ほど経った時に撮った、特急券と車窓の風景。
一緒に置いてあるポカリスエットには、特に意味はありません(笑)。
特急なら大阪阿部野橋駅から、約1時間20分で吉野駅に到着。
この日の吉野山は、時々小雨が降る天気でした。
期間限定で吉野駅前から運行されている、中千本公園行きの臨時バス。
時間と体力の節約にはとても役立ちますが、この頃の私はまだ何とか山登りに耐えられる足腰を維持していたので、バスは使わずに自分の足で登ります。
今回は、去年来た時の写真に写っている道路を歩いて、まずは如意輪寺へと向かいます。
道路を歩いている途中で撮った、登って行く吉野ロープウェイ。
今から八年前の写真なので、旧バージョンの塗装です。
道路を5〜6分ほど歩くと、吉野温泉元湯へと通じる分かれ道に出ます。
(ここまでの道路は路肩が狭く、バスや車が通るので注意)
ここから吉野温泉元湯経由で如意輪寺まで、迷うことなく行けます。
分かれ道に入ってから、比較的緩やかな登りの道を約1km進むと、吉野温泉元湯に到着。
吉野温泉元湯は、詩人・島崎藤村ゆかりの宿で、約300年の歴史を持つ、秘湯とも言える場所。
宿泊だけでなく、日帰りでの入浴も受け付けています。
ちなみに、写真右奥に見える石段から上へと登って行くと吉水神社に行けますが、かなりの急坂らしいので注意してください。

吉野温泉元湯のHP
吉野温泉元湯を過ぎると、舗装された所もありますが、基本的には山道が続きます。
写真は、そこを登っている途中で撮った中千本の風景。
下千本(吉野駅周辺)ではほぼ葉桜でしたが、ここまで来るとまだ散らずに残っている桜が割とありました。
如意輪寺に近付くにつれて、徐々に石段で出来た道が増えてきます。
そして、やっと着いた……と思ったら、最後に更なる石段が待ち受けています。
頑張って最後まで登り切りましょう。
石段を登り切ると、如意輪寺の山門に到着。
如意輪寺は平安時代に開かれた寺で、南北朝時代、吉野に南朝を樹立した後醍醐天皇と関わりが深いお寺です。

如意輪寺のHP
本堂・如意輪堂。
本尊に如意輪観世音菩薩を祀っており、建物は江戸時代に一度改修を受けて現在に至っています。
本堂から向かって左へ行くと、宝物殿があります。
宝物殿に入るとすぐに、このような台が置いてあるのですが、これはちょうどこの真上の天井に如意輪観音(ねおがみの観音)が描かれてあって、それをこの台の上に寝ながら拝むという珍しい物。
どんな絵が描かれているかは、実際にここへ来て、その目で確かめてください。
ほとんどの人が名前を知っていると言っても良いほどの名刀・村正。
村正は『妖刀』だという伝説がありますが、これは何の根拠も無い、ただの俗説です。
また、これに似た名前の刀『村雨』は、架空の刀です。

村正(Wikipedia)
村雨(架空の刀)
楠木正成の息子・正行(まさつら)が、四条畷の戦いへ赴く際に辞世の句を刻んだとされる、本堂の扉。
この写真では分かりづらいですが、扉の真ん中からやや右寄りの所に刻まれています。
内部に阿弥陀仏をお祀りしている多宝塔。
近くにある桜の木は花がすでに散ってしまっていたので、もう何日か早く来れば、もっと見栄えの良い写真が撮れたかもしれません。
本堂の裏手にある石段を登って行くと、長慶天皇の皇子・世泰(よやす)親王の墓と、さらにその上に、後醍醐天皇陵があります。
歴代の天皇陵は通常、南向きに造営されますが、この後醍醐天皇陵は北向き、すなわち京の都がある方角に向かって造営されています。
本堂の右横から裏山門をくぐって如意輪寺を後にして、さらに階段を登った先にある観光車道を横断すると、ご覧のように登山道と奈良交通のバス停があり、この道から吉野水分神社を目指します。
ちなみにこのバス停は、近鉄吉野駅から中千本公園の間を運行する臨時バスの停留所で、桜の季節からGW期間中のみ運行されているので注意。
(2019年は3月23日〜5月6日まで)

吉野町のHP
ひたすら登山道を登っている最中の写真。
ここまで来ると、金峯山寺の蔵王堂も良く見えるようになります。
少し晴れ間が出た時間帯があったので、この機を逃さず上千本の桜を撮影。
以前のルートだと、ここの桜はかなり遠くの方に見えていましたが、今回はすぐ近くに見ることができます。
登山道に入ってから約30分経って、稚児松(ちごまつ)地蔵に到着。
私の記憶が確かならば、蔵王堂方面の道とは違い、ここまで他の誰とも会わなかった覚えがあります。
ちなみに、名前の由来は稚児松という木のそばに建てられたことから来ているそうです。
その木はすでに枯れてしまいましたが、お地蔵さんのすぐ後ろに切り株が今も残っているとのこと。
そして、稚児松地蔵には聖徳太子に関わる伝承が残っていますが、それに関してはこちらのページを参照してください。
稚児松地蔵のすぐ近くには分かれ道があり、まっすぐ進むと喜佐谷・宮滝方面へ行けます。
今回の私のように吉野水分神社へ行きたい場合は、写真の右奥へと続く道を登って行きましょう。
稚児松地蔵までの道は割と歩きやすく、道幅もそれなりにありましたが、そこから先は幅が狭く足元も不安定な道が続きます。
いかにも森の中と言えるような暗い場所(写真では明るいですが)もあるので、油断しないように進みましょう。
森を抜けると、広々とした斜面に若い桜の木が多数植えてある場所に出ました。
吉野山では枯れたり倒れたりして減ってしまった桜の木を新たに植えて復活させるプロジェクトが進行中で、これもその一環でしょう。
そしてここを過ぎると、吉野水分神社へと通じる大きい道と合流します。
今回の目的地、吉野水分神社に到着。
如意輪寺からここまで登ってくるのに約1時間半。
健脚な人ならもっと早く着くでしょうが、私はそんなに足腰が丈夫ではない上に、各所で写真撮影しながらだったので、かなり時間が掛かってしまいました……。
ちょうどこの時、本殿は屋根の葺き替え工事中でした。
二年前(2009年)に来た時点で痛みが目立つようになっていたので、本格的な工事が必要になったのでしょう。
楼門の中に置かれている、木彫りのフクロウ像。
その由来や制作年代は不明。
そして背後にピンボケで写っているのは、豊臣秀頼が寄進した湯釜だそうです。
別角度からフクロウ像を撮影。
同じく木彫りの椅子の上に乗っています。
今回は奥千本には行かず、ここから下山します。
その途中、吉野展望台から望遠レンズで撮影した蔵王堂方面。
吉野展望台から蔵王堂まで直線距離で約2km離れていますが、300mmの望遠レンズで最大ズームにすると、ここまで大きく見えます。
そして境内や参道を歩く人の姿も、細部までは判別できませんが視認可能。
ここに居る人も、まさか吉野展望台から見られているとは思うまい(笑)。
文章では吉野山の坂の勾配が分かりづらいと思うので、それが分かるような写真を、帰りの上千本で撮ってみました。
勾配は何パーセントくらいあるのでしょうか?
吉野山では上千本から奥千本にかけて、こんな急坂がほとんど切れ目無く続きます。
もっとも、箱根の山の坂は、これよりもっと凄いらしいのですが……。
去年来た時は入口が封鎖されていた、竹林院前バス停の近くにある、名称不明の社。
今回は通行止めも解除されて、鳥居も真新しくなっていました。
石段を登って、上から見下ろしてみた図。
石段の途中にある踊り場に賽銭箱があって、さらに上へと石段が続いている造りになっています。
一番上には小さな社があって、ちゃんとお供え物もありましたが、一体ここに何が祀られているのか、そしてこの社の名称も分からずじまい。
色々と調べてみましたが、おそらく同じ吉野山にある東南院と関係のある場所……くらいしか分かりませんでした。
ただし、写真の賽銭箱の上には『大梵天王』の文字があり、背面には造船所の名前が彫られていたので、その方面に関係のある神様が祀られているのかもしれません。
吉水神社まで降りて来る頃には、すでに午後5時を過ぎて閉門していましたが、それでもまだ閉門している所を撮ったことは無かったので、わざわざ門の所まで歩いて行きました。
蔵王堂はまだ開門していましたが、この写真を撮った数分後(午後5時45分ごろ?)に扉を閉めていました。
今まで何度も撮影した銅鳥居(かねのとりい)ですが、今回は良い日光の当たり具合だったので、これまでで最も鮮明な写真が撮れました。
今回は吉野ロープウェイを使わず、自力で七曲坂を下って、近鉄吉野駅に帰って来たのは午後6時40分頃。
午後7時05分発の特急を待って、しばらくホームのベンチに座って疲れた体を休めます。
これが今回乗った帰りの特急、大阪阿部野橋行き(京都連絡)。
使われている車両は16000系(旧塗装)だと思いますが、私は電車に関してそれほど詳しくないので、もし間違っていたら申し訳ありません。
大阪阿部野橋駅に到着する10分ほど前に撮った、特急券と静岡茶。
吉野駅前の自販機に、なぜかこれがたくさん置いてあったので、思わず買ってしまいました。
吉野山なのに静岡茶とは、これいかに?
特急を降りて、そのまま帰ろうとしたら、車両をチェックしていた車掌さんが、突然線路の上に降りて行きました。
何かを落としたのか、もしくは何かが落ちていたのか……その辺の事情は不明です。
もう一人の車掌さんに引っ張り上げてもらって、ホームへと復帰する車掌さん。
最後に珍しい場面に遭遇して、今回の吉野山登山は終了です。

(今回の動画)
近鉄特急の車窓風景   吉野山の桜と、吉野展望台から望遠レンズで撮影した風景




     

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